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BASCが「CEATEC 2025」でバッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)の設立を発表

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一般社団法人電池サプライチェーン協議会(BASC)は、「Society 5.0」の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い「共創」によって未来を描くことを趣旨として10月14日〜17日まで開催される「CEATEC 2025」に出展。

イベント初日となる14日には「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)」の設立に関するプレスイベントを開催した。

 

BASC「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)」を設立

BASCは次世代の蓄電池人材の育成・確保のため、これまで産官学が連携し、高校・高専を対象とした「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」が進められてきた。

しかし、この取組を全国に拡げるとともに対象を大学まで拡げ、蓄電池人材の育成・確保を加速すべくバッテリー先進人材普及ネットワーク「Battery Advanced Talent Outreach Network|BATON(バトン)」を設立することを発表。

今回幕張メッセで開催中の「CEATEC 2025」にて行われたプレスイベントに、BASCの好田博昭会長が登壇。

「本日ここに、電池産業発展に向けて、先進人材の育成を目的とした産官学連携の新たな組織、バッテリー先進人材普及ネットワークの発足を宣言いたします。このBATONの取り組みを通じて、より多くの学生の皆さんに電池産業への興味、関心を持っていただいて、その先に電池産業の仲間に加わっていただけることを心より期待しております。」

と、電池産業の発展のため新たな組織であるBATONの設立についてコメントした。

日本政府が2022年8月に策定した蓄電池産業戦略では、2030年までに国内で150ギガワットの電池製造基盤を構築する官民目標が掲げられている。

そこで、電池産業の集積地である関西で先行して「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」を立ち上げ、初の産学連携による教育プログラムを制作。

これまで関西の高校、高専を中心にプログラムを実施した学校が30校まで拡大し、受講者はこの2年間で1,600名まで増加。

この取り組みが評価され、関西以外の地域からも「プログラムを普及してほしい」という強い要望があったことから、全国規模の組織であるBATONを立ち上げることになったのだと説明した。

BATON全体の事務局はBASCとBAJ(一般社団法人電池工業会)が担うほか、電池・サプライチェーン各社のプロフェッショナルも参画。

教育界からも、日本の電池研究をリードする全国の大学教員も参画し、教材制作への助言、各校への教育プログラム導入に向けての課題等の共有を想定することで、大学向けのプログラム設計を加速することが狙いだ。

好田会長は、11月下旬に予定している第1回会合までに、実施体制を固めていくと今後の活動方針についても言及した。

 

BATONの役割と今後の展望

BAJの只信一生会長は、

「皆さんご承知のように、特にリチウムイオン電池は、安全性を担保しながら、高い信頼性をもって性能を上げていき、グリーンな社会とデジタル社会にしっかり貢献し、それを産業の基盤として、この国に根付かせていくということがどうしても必要になってまいります。」

とコメント。

電池工業会として30年、業界の戦略としては80年取り組んできた様々な企業の知恵・経験を、今の時代に合う形で教育の教材とし、これらの知恵を今回の目的である“バトン”として繋ぎ、この国の発展に直結させたいと語った。

独立行政法人 国立高等専門学校機構の小林幸人学務統括参事は、

「この蓄電池分野に関しましては、特に重要な領域。カーボンニュートラル時代のキーデバイス、あるいは新たな社会インフラ技術を開発・製造する分野において、我が国のみならず世界的にも非常に人材開発・育成が重要な課題だと認識しております。今回の(BATONの)発足に当たり、高専もますますこの蓄電池人材育成において尽力して参りたいと思っております。」

とコメントしている。

 

大学における蓄電池人材育成の取り組みと蓄電池産業政策の意義

早稲田大学 創造理工学部長・創造理工学研究科長を務める所千晴氏は、

「早稲田では縦割りになりがちなそれぞれの学部を横断し、カーボンニュートラル副専攻、あるいはカーボンニュートラル社会研究教育センターというものを作り、様々な学部から学生を結集しています。この電池の人材を育成したいというお話を頂いた時に、まさに早稲田大学が目指す“社会に役立つ研究”、そして“人材を教育する”というところが一致しており、早稲田大学で電池の人材を育成する大学院の講義を開設致しました。」

と、早稲田大学における教育状況について説明。

現在第1回目の講義が終了し、学生からの反応も非常に好意的だったことを明かした。

経済産業省 商務情報政策局長の野原諭氏は、蓄電池産業戦略の背景と政策的意義について説明。

政府は2030年までに、蓄電池の国内製造基盤として150ギガワットを確立する目標を掲げていることについて触れ、蓄電池を経済安全保障推進法に基づく特定重要物資に指定し、これまでにない支援策を講じていることも明かしている。

「電池工場が安定的に稼働するための技能・経営人材に加え、製品の開発・評価・ライン設計などを担う技術系の人材が求められています。蓄電池関連投資が進む地域の高専・高校、また意欲的な大学に展開し、より多くの方に蓄電池産業に参画していただくBATONの役割は極めて重要です。蓄電池産業の競争力の源泉は、人材と言っても過言ではありません。蓄電池製造の最前線を切り開いてこられた先達からのバトンが次の時代を担う方々に確実に引き継がれ、蓄電池産業が日本経済を支える基幹産業に成長していく基盤となることを期待しています。」

と野原氏は続け、蓄電池産業で人材の育成が求められていることを政府も実感しており、BATONの活動に注目していると語った。

最後に好田会長は、

「電池は商品一つに見えますが、設備・資源としても総合力の塊なんです。そして世の中は早く動いており、産業としての適応力・順応性をどう上げていくかが重要です。企業競争力をさらに加速し、短期的ではなく仕組みをこの国に定着させ、蓄電池を中心とした製造業の復活を目指しますので、この活動をご支援頂けたらと思います。」

と訴えかけ、プレスイベントを締め括った。

CEATEC 2025に出展中のBASCブースでは、会員企業などから70社が参画。

電池サプライチェーンの全体像や参画各社の強み、参画各社との新規ビジネス共創のヒントを見つける施策や、活躍する人材の紹介なども行っている。

蓄電池業界や人材について興味がある方や、詳しく知りたいという方は、幕張メッセで10月17日まで開催中のCEATEC 2025「BASCブース」に足を運んでみてほしい。

 

開催概要

●CEATEC 2025(シーテック 2025)
会期:2025年10月14日〜17日 10時~17時
会場:幕張メッセ(千葉市美浜区)
入場:無料(全来場者登録入場制)※オンラインでの事前登録が必要
主催:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
CEATEC 2025:https://www.ceatec.com/ja/