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「Japan Digital Design」金融市場の翻訳に特化したLLMを三菱UFJ銀行へ提供開始

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Japan Digital Design株式会社は、金融市場関連文章の翻訳に特化した700億パラメータの大規模言語モデル(LLM)「Llama-3.3-fintranslate-JDD-70b」を開発し、実務データを用いた内部評価においてグローバルモデル(GPT-4oなど)を超える性能を達成。

また、本モデルを利用した翻訳アプリを、株式会社三菱UFJ銀行に対し、近日中に提供を開始することを発表した。

 

JDDが金融市場特化の大規模言語モデル「Llama-3.3-fintranslate-JDD-70b」を開発

グローバルに連動する金融市場関連業務では世界各国の情報を収集すること、また日本の情報を世界に発信することが重要な仕事の一つ。

マーケットレポート・ニュース・中央銀行のリリースなど、日々作成される様々な金融市場関連文章を効率的に英訳・和訳することは従業員の業務効率化・情報発信力の強化という点で重要だが、既存の翻訳ツールでは金融市場関連文章に特有な表現を上手く翻訳できないことが課題になっている。

Japan Digital Design(以下、JDD)は、これらの課題に対して三菱UFJ銀行がこれまで作成してきた日本語・英語の金融市場レポートから対訳データセットを構築し、アメリカのMeta Platforms社が提供する「Llama-3.3-70B-Instruct」の日本語性能を向上させた「Llama-3.3-Swallow-70B-v0.4」をベースモデルに、継続事前学習と教師ありファインチューニングを実施することで、金融市場関連文章の翻訳に特化したモデルを構築した。

独自モデルで業務に利用できるレベルの翻訳を生成することで担当者の業務負荷を軽減することを狙っている。

三菱UFJ銀行の市場関連業務に従事している専門家による市場翻訳特化型JDDモデルの性能評価を実施。

実際の業務で翻訳の対象となる複数の金融市場レポートから15パラグラフを抽出し、翻訳対象に。

内訳は英語の和訳が10問、日本語の英訳が5問、1問あたり4名の専門家による相対評価と絶対評価の両方を依頼し、合計48個の有効回答を得た。

相対評価では約60%の割合でJDDモデルの翻訳がGPT-4oより優れているという評価、また絶対評価では93%の割合でJDDモデルの翻訳が「人間が多少修正する」または「全く修正しないまま」業務で使えると判定。

また、約4,500件の金融市場関連文章に対し、JDDモデルとGPT-4oそれぞれで翻訳文を作成。

生成された翻訳文の各々に対して、GPT-4.1を利用して以下の5項目を4点満点でスコアリングさせた。

【評価項目】
・FLUENCY:翻訳先言語としてどれだけ自然か
・ADEQUACY:原文の意味がどれだけ正しく伝わっているか
・MARKET_STYLE:金融市場で使われる専門用語を正しく選択しているか
・COVERAGE:原文の内容を抜け漏れなく翻訳しているか
・OVERALL:上記4項目の評価を踏まえた総合的な翻訳の品質

その結果、FLUENCY、STYLE、ADEQUECYなどの項目でJDDモデルがGPT-4oモデルを上回り、OVERALLでもJDDモデルが上回ることが確認できた。

 

三菱UFJ銀行へ近日導入へ

三菱UFJ銀行の資金証券部、デジタル戦略統括部と協働のもと、6ヶ月の期間をかけて独自LLMを開発した本プロジェクトは、三菱UFJ銀行ならびにJDDにLLM利活用のノウハウを貯めるR&Dとしてスタート。

関係者らの助力にも恵まれ、開発した翻訳特化LLMの性能は業務適用可能な水準に達し、今後アプリケーションとして三菱UFJ銀行へ提供することを計画されている。

本取り組みで得られた業務知見および技術資産を活かし、JDDは自社が提供する生成AI技術を活用した業務支援ソリューションの一層の高度化を目指すとともに、引き続き金融業界における業務DXの加速に貢献していくと説明している。

Japan Digital Design:https://japan-d2.com/