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建物管理のDX化でサービス品質向上へ!建物清掃業務に自律移動型ロボットを4月から導入

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大和ハウスグループの大和ライフネクスト株式会社は、株式会社JR東日本ビルディングと共同で、管理受託建物であるJR目黒MARCビルにおいて、自律移動型ロボットを活用した清掃業務を2023年4月より開始した。

 

ビル清掃業務に自立移動ロボットを導入

建物管理業界では、労働生産人口の減少による管理員・警備員・清掃員等の人材不足・人件費高騰を受け、管理委託業務費の値上げを要請せざるを得ない状況が続いている。

大和ハウスグループの大和ライフネクストでは、近年発展し続けている最新のIT・IoT技術を活用し、分譲マンション・オフィスビル・商業施設等の様々な建物管理において、サービス品質の向上および業務効率化を目指すDX化の取り組みを推進。

一方、JR東日本グループは「ロボットが人に寄り添い、共生する街」を目指して様々な実証実験に取り組んでおり、高輪ゲートウェイシティ計画をはじめとする今後の再開発計画に生かすためのノウハウ・データ蓄積を進めている。

そこで、JR東日本ビルディングが運営・管理を統括し、大和ライフネクストが設備管理業務・清掃業務等を受託しているオフィスビルであるJR目黒MARCビルにおいて、自律移動型ロボット導入の検討を開始。

清掃サービスの品質向上や作業効率化を目的とした約2ヶ月間の実証実験を経て、2023年4月より同ビルの清掃業務の一部に自律移動型ロボットを本導入したことを発表した。

 

自律移動型ロボットとは

今回導入されたロボットは、AIカメラやセンサーを通じて周囲の環境を認識し、人や障害物を自動で避けながら自律走行することが出来る仕様となっている。

エレベーター・自動ドア・フラッパーゲート等とAPI連携(アプリケーションとプログラムを連結させること)をすることで、設定したルートの走行(清掃)が可能となるそう。

自律移動型ロボットの導入により、人(清掃員)とロボット、それぞれの得意な清掃作業を分担することで、業務効率化およびサービス品質の向上を見込むことが出来ると説明している。

 

実証実験の内容

JR目黒MARCビル内で、これまで清掃員が行っていた床面の掃き掃除にロボットを活用し、主に3つの点について確認を行った。

 

●1:ロボットとエレベーターのAPI連携を確認

フロアで所定の作業を終えた際には、ロボット自体がエレベーターの呼び出し・乗車・目的階の指定・降車・目的階での清掃開始など、一連の動作を人の手を借りずに行うことが出来ることを確認。管理スタッフがスタート起動するだけで、1つのロボットで複数フロアを跨いでの清掃が実現。

●2:夜間の無人状態におけるロボットの走行状況の確認

これまでは清掃員が日中に行っていた作業に代えて、消灯後(夜間)の無人となる時間帯に、暗い中でロボットを稼働させることに成功。

●3:ロボットによる床面の清掃状況を確認

ロボットによる清掃データを収集出来るため、ロボットの清掃ルートの見直しや、人(清掃員)の清掃仕様の見直しに繋げることが可能に。

 

ロボットが「水平面(床面)の清掃」に特化することで、人(清掃員)は「人の手による清掃が適している、トイレやガラスなどの立面等の細部の清掃」に注力することが可能となり、建物全体における清掃サービスの品質を向上させることが出来たそう。

また、オフィスビルが稼働していない夜間・休日に清掃作業を行うことが出来るため、テナント・ビル利用者の満足度向上に繋がったと説明。

そして、ロボットによる清掃データの可視化により、汚れやすい箇所・汚れの多い箇所の分析が可能となったとのこと。

今後は、これまで一律の仕様だった定期清掃を、汚れに応じた手法・洗剤・用具を用いてより精密化させる取り組みを進め、メンテナンスコストを最適化し、長期的な資産価値の維持・向上を目指します。

※ロボット提供元:日本信号株式会社
※エレベーター連携システム提供元:株式会社Octa Robotics

 

今後は清掃の分野だけでなく、警備や運搬等の様々な分野でロボットを活用することで、管理品質の向上につながる新たなサービス設計の構築を目指すと説明。

まだまだ課題やデータ・情報の収集が必要なものの、2023年4月1日に改正された道路交通法で「ロボットの公道走行が可能」となったことも大きな歴史の一歩と言える。

人とロボットが共存する社会の実現は、間近に迫っているのかもしれない。