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妊娠24週目からはじめられる「母子免疫ワクチン」で乳児のRSウイルス感染症の重症化防止へ

急性呼吸器感染症の1つであるRSウイルス感染症。

特に乳幼児に多いRSウイルスを病原体とするこの感染症は、生後6か月未満の乳児が感染することで、細気管支炎・肺炎といった症状を起こし、重症化してしまう可能性があることをご存知だろうか。

本記事では、RSウイルス感染症の恐ろしさ、そして最近注目を集める対策方法なども含めて紹介する。

 

乳児期に重症化リスクが高い「RSウイルス感染症」

RSウイルス感染症(Respiratory Syncytial Virus)は、生まれたばかりの乳幼児や高齢者に重篤な症状を引き起こす可能性がある、RSウイルスを原因とする呼吸器感染症。

世界中のどこにでも存在するウイルスで、特に日本の乳幼児は2歳までにほぼ全員が感染するとされており、実際に3歳の時点で検査を行うと、ほとんどの子どもが抗体を持っている(感染して体が抗体を作っている)状態なのだとか。

RSウイルスは、咳やくしゃみによる「飛沫感染」、ウイルスが付着した物品を介した「接触感染」によって拡大。

症状は鼻水・咳・発熱など風邪に酷似しており、大人は軽症で済むことが多いため、軽視されやすい病気とも言える。

しかし、RSウイルスは生後6か月未満の乳児が感染してしまうと、細気管支炎・肺炎といった重症化を引き起こすことが少なくない。

呼吸困難で入院が必要になるケースもあり、時には命に関わる危険もある感染症だ。

RSウイルスにかかった乳児の4人に1人は入院が必要になるという報告もあり、生後間もない新生児がRSウイルスに感染し、重症化してしまったことがある経産婦からは、

「赤ちゃんがとても苦しそうで不安。」
「命にかかわるのでは…。」
「入院中は面会が限られ、そばにいてあげられなくてつらかった。」

という声も出ている。

また、家庭内感染の可能性も高く、保育園・幼稚園・小学校などに通う上の兄・姉がRSウイルスを保有し、その状態で家族と接触することにより、意図しない感染を起こす可能性も高い。

特に乳児の3割は下気道で炎症(細気管支炎や肺炎)を起こし、重症化してしまうほか、重症化を経験した乳幼児は将来的に喘息を発症するリスクが21.8倍も高いことも分かっているため、発症した後も生活の質を低下させてしまう恐れもある感染症がこのRSウイルス感染症だ。

 

RSウイルス感染症を未然に防ぐ!妊娠中に接種する「母子免疫ワクチン」とは

RSウイルスは感染力が非常に高く、初めて感染した際は重症化するリスクが高まり、免疫機能が未熟な6か月未満の乳児期では喘息の発生や呼吸困難、脳症を引き起こしてしまう可能性もあるため、免疫機能が整う生後6か月まではなんとしても感染を避けることが重要となる。

家庭内でできる対策は、こまめな手洗い・手指の消毒が基本だ。

それ以外にも、家族が接触した物・部位のアルコール消毒が効果的とされる。

家族に咳・発熱などの症状がある場合は、できる限り接触を控え、マスクを着用することも大切だ。

だが、これだけでは完全に感染を防ぐことは難しい。

そこで今注目を集めているのが、妊娠中からRSウイルスの抗体を子どもに備えられる「母子免疫ワクチン」だ。

これは妊娠中の母親が接種することで、母体にできた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行する「母子免疫」という機能を用いて、出産したその瞬間から赤ちゃんを守るという新しい仕組みのワクチン。

接種できるのは妊娠24週から36週で、妊娠中に母体から送られた抗体は生後6か月頃までその効果が持続するため、免疫がまだ未発達な乳児期の重症化リスクを抑えることができる。

費用は大体3~4万円前後で、自己負担での接種となることが多い。

しかし、接種費用の全額または一部負担をしてくれる自治体も増え始めており、今後は助成の対象地域が広がる可能性もある。

そのため、妊娠されている家庭では、自身の自治体の最新情報をしっかりと確認することが重要。

そして自身の子どものリスクを減らしたいと感じたならば、この母子免疫ワクチンを1つの選択肢として検討してみてほしい。